スーさんのいえづくり

古民家リノベーションで理想の暮らしを叶えるブログ

【間取り公開!】女性一級建築士のわたしがリノベーション間取りをつくるときに考えたこと

前回、リノベーションする時の間取り変更の基礎知識について記事をかきました。

https://su-life.hatenablog.jp/entry/2019/09/25/185227

 

 

今回は、実際にリノベーションをした古民家のBEFOREと、AFTERの間取りを公開します。

 

間取りが決まるまでは細かいところを含めるとずいぶん紆余曲折しましたが、大枠の間取りを決めるまではそこまで多くの時間は要しませんでした。

 

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 間取りBEFORE・AFTERを公開!

BEFORE

 

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なんとも独特な形の間取りです。

玄関めちゃくちゃ広いですし、一番下のトイレは なぜ?という感じですよね。笑

 

そして、古い家の割に柱がすごく少ないのが印象的な間取りです。

 

(以前記事にした、“4スパン以内の柱”説が覆るほど柱がないです。

その分、ものすごく立派な梁が入っています。)

 

特に和室のは木造では考えられない開口の開け方(南面)と、柱のなさです。

(後々、ここだけ鉄骨梁が入っていることが判明しました)

 

 

AFTER

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大きすぎた玄関にエントランスクロークをつくり、独立していたダイニングキッチンをリビングとつなげて LDKをゆったり確保しました。

詳細はこのあとの項目で解説します。

 

 

 

増改築の遍歴を垣間見る

増改築の回数と順番

見た目でも増改築を繰り返している様子はなんとなく見て取れまして、改装は不明ですが、少なくとも下記の順で増築されているようです。

 

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この部分が最も古い。

見えている構造梁もいい雰囲気です。

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ここだけが総2階の造りになっています。

 

 

水回りは増築。

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このエリアはサッシが木製で隙間風がすごいです。

1番寒さを感じるはずの浴室も木製サッシですし(しかも当然ペアガラスなんかじゃない!)、このままでは住めない…と思わせた部分です。

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最後は和室部分。

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和室居間の部分はおそらく1番最近に改装されていて、全体的にきれい。

トイレはさらに増築なのか改築なのか、不思議な位置にあります。

 

 

増築を見分けるポイント

増築されたかどうかは、こういう部分に出てきます。

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新旧の柱が抱き合わせになっていて、構造がむりやりくっついている様子がわかります。

 

なかなかおもしろいですね。

 

今回の物件の場合は大壁(柱が壁の中に入っている納め方)ではなく柱がこのように露出していたのでとてもわかりやすいです。

 

ちなみに当然ながら、このどちらの柱も動かすことはできません。

 

以前の記事にまとめたように、外周部の柱は基本的に抜きづらいのです。

今回は増築を繰り返しているため、外周部の柱が何層にもあるようなイメージです。

 

 

今回のリノベーションで残すべき柱

基本的に木造の場合、適正に補強をしてあげれば外周部以外は柱の移動がしやすいのですが、今回は上述のとおり増築を繰り返しているため、“外周部がたくさんある”ような構造になってしまっています。

 

そのため、増築時のそれぞれの外周部の柱を残す必要がありました。

 

⇩図面で見るとこちら。

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これらの柱を残す形で新しいプランを考えていきました。

一点、黄色い部分の柱だけは、本当は外周部の柱のため残すべきだったのですが、どうしてもプランを優先したく、架け替えてもらうことにしました。

 

『どうしても』と言ったらできてしまうあたりは、さすが木造です。

(本当は外周部はむやみに触らない方が無難です!特に今回は二階が乗っているところなので。)

 

 

⇩新しいプランではこれらの柱がここにきています

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前述した黄色い柱は梁で補強して、赤の位置に持って行きました。

一応外周部の下に補強を入れております。

 

その他の細々した柱についても、同様に梁で補強することで抜いています。

LDKのスパンを飛ばすところは一部鉄骨梁を採用しました。

 

 

二階は比較的きれいだったのと、予算の関係で触らないことにしました。

(部屋数も十分足りてましたし。)

 

 

AFTER間取りのポイント

いろいろ紆余曲折考えたことは改めてまとめますが、決定した間取りのポイントを解説します!

 

 

徹底的に家事動線を意識

この間取りには、

つくる⇨食べる⇨片付ける 食事動線と、

洗う⇨干す⇨しまう 洗濯動線の2つを重視しました。

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食事動線は1歩でも近く!

もっとも叶えたかったことは、キッチン〜ダイニングの動線です。

 

キッチンの考え方もたくさんありますが、今回はより広く開放的にしたかったのでキッチンを独立させず、オープンなダイニングキッチンにすることは決めていました。

 

ダイニングキッチンにはキッチンの正面にダイニングがあることが多いですが、わたしはキッチンの横にダイニングがほしい派。

 

理由は、より近いから。

共働きで“早く帰って来た方が夕飯を作る”生活のため、食事の支度は1人ですることが多く、正面ダイニングのプランだと受け取ってくれる人がいないため ちょこちょこ動き回るのがおっくうだな、と思ったわけです。

 

作ったら2歩でテーブルへ、そして食べ終わったら2歩でシンクへ。

動線は近いに越したことはありません!

 

 

洗濯動線はいかに隣接させるか!

洗濯は洗う⇨干す だけでも、干す⇨しまう だけでもなく、洗う⇨干す⇨しまう が一連になることを重視しました。

 

まずは洗濯を干す場所を考えるのがポイントです。

2階のバルコニーで干すのであれば、思い切って水回りを2階に持って行ってしまうのも便利です。

 

今回は庭が広いため、基本的には庭で干すことを想定し、脱衣室から直接外に出られるように勝手口を設けました。

 

乾燥機付きの洗濯機を購入予定のため、浴室の乾燥機は採用しませんでしたが、雨の日用にランドリーポールだけは採用。

脱衣室の天井にも物干しを設置し、仮干しができるようにしました。

 

取り込んだ洋服やタオルは、すぐにしまえるように、脱衣室内にタオル収納を、そして洋服収納のためにWICを隣接させて扉を設けています。

 

 

 

回遊性を持たせて行き止まりをなくす

この家の特徴は、徹底的な回遊性があることです。

エントランスクロークから始まり、各部屋行き止まりがありません。

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回遊動線のメリット

回遊性を持たせることで、目的に合わせて最短距離を移動できますし、出たり入ったりしなくてもよくなるので2人以上で家事をする時も動線がごちゃつかずスムーズになります。

お母さんが料理を作っている間にお父さんが冷蔵庫から飲み物をだす、なんて動作も、回遊性があればかち合って邪魔になることはありません。

 

また、表動線と裏動線をつくり、家族動線とお客様動線が分かれていることもポイントです。 

それによって、突然の来客時にも隠す必要なく中まで案内ができます。

 

回遊動線のデメリット

通り抜けができると動線としてはスムーズですが、1点デメリットがあるとすると、収納力が減ることです。

 

例えば今回のプランのWICも、回遊できないプランに変えることで収納力がアップします。

 

⇩この扉を潰して…

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⇩代わりに一面収納にした方が収納力は高い!

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このあたりは収納優先なのか、家事動線優先なのか、住む人のニーズ次第です。

 

ただし、収納物が多い方は、いくら回遊動線に憧れるとしてもきちんと収納スペースを確保する方が優先なので注意しましょう。

 

収納力を考える

そもそも必要な収納スペースとは?

収納は一般的に面積の12%以上は必要と言われています。

20%程度あるとかなり満足度も高くなるのでまずはここを目指します。

 

置き家具での収納も大切ですが、どうしても欲しいデザイン家具やすでに持っている家具以外は、作り付けの収納スペースを確保する方がスッキリするのでおすすめです。

 

置き家具は何も考えずに置いてしまうと せっかく確保したはずの部屋の広さをさらに狭くしてしまうので、あらかじめ何を置くかを考えて、それを図面に落とし込んで間取りを考えることを忘れないようにしましょう。

 

できる限り小分けな収納を確保!

前述のとおり、収納の確保は必須です。

その際、「納戸」のように大きな収納空間をドーンと1つつくるよりも、小さくてもいいので各部屋に小分けになる収納を作ることが重要です。

 

使う場所にしまう、これが鉄則です。

 

今回のプランでは下記の箇所が収納となっています。

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さらに置き家具を下記のように置くつもりなので、これもあわせると収納力はバッチリです。

収納場所が各所に散らばっていることで、使いやすくしまいやすい収納にすることができます。

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収納するものと場所はセットで考えよう

一口に収納場所の確保といっても、単に面積を確保するだけではいけません。

収納場所をばらけさせることが目的ではなく、使う場所としまう場所を必ずセットで考えることが重要です。

 

ざっと考えただけでも、下記のようなものがあります。

・掃除機(収納内にコンセントが必要になる場合もあるので必ず決める!)

・靴(普段履きと、おしゃれ履きの両方)

・脱いだコートやカバン

・食器、カトラリー

・調理器具(キッチンのプランにも影響!)

・食材ストック

・タオル

・洗剤ストック

・お客様用布団

などなど

 

必ず、何をどこにしまうのか?を考えて収納スペースを確保していくことです。

これをなんとなくで済ませてしまうと、後々しまう段階になって入らなかったり、コンセントがなかったりして後悔することになるので、サボらずにじっくり考えましょう。

 

 

 

 

まとめ

今回の間取りに行き着くまでには、さまざまな紆余曲折がありました。

リノベーションということもあって制約もありましたし、どこからとっかかってよいのか悩んだりもしました。

 

しかし、じっくり考えたことで、納得のいく間取りになってくれたと思っています。

 

間取りは持っている物の量や生活スタイルに大きく依存するため、我々の間取りが必ずしも万人にとっての正解ではありません。 

人によっては非常に使いづらく見えたかもしれません。

 

でも、それでもよいのです。

きちんとしたプロセスに沿って徹底的に考えることによって、自分にとって最良の間取りを模索していきましょう!